7MHz AM トランシーバ送信終段の確認

いよいよ終段を組み立てて、目標の出力を得ます。出力インピーダンスを
JG3ADQ 永井OMのWEBSITEでご紹介されている方法を使わせて頂いて計算すると、1W出力時に約70Ω。1.5W出力で約47Ωとなりました。RFC負荷として電力を取り出す事にします。7MHzに於けるRFCのインピーダンス(リアクタンス)が50Ωの10倍以上になるようにFT50 #61 のトロイダルコアに0.4φUEW線を19回巻いて約24uHとしました。22uH程度を狙って巻き数は18回の計算で巻き線をカットしたのですが、19回巻けたのでそのまま使います。

励振段の出力が20dBm程度になるようにSGの出力を設定して電源を入れます。
tynySA測定値は-7.6562dBm。40dBのアッテネータを入れているので32dBm、約1.7Wの出力。C級アンプなので当然ですが、高調波も威勢よく出ています。
基本波に対して2次高調波が-16.4dB、3次高調波が-12.8dBです。出力を30dBm(1W)程度に下げてもこの傾向は変わりません。2次高調波を-60dBいかにしたいところです。

試しに励振段にバイアスを掛けてAB級動作にしてみました。ベースバイアス電源は変調の掛かるコレクタとは別の系統からマイクロインダクタ通して取りました。
この定数でコレクタ電流は無信号時15mA、1~1.5W出力時で20mA程度になりました。
基本波に対して2次高調波が-20.4dBと4dB改善、3次高調波は-10.8dBで2dB悪化となりましたが、出力(前段からの入力)の増減で変わります。結局、終段がC級動作ではドライバーをAB級動作にしたから高調波が減ったとは言えないようです。

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7MHz AM トランシーバ送信励振段の確認

励振段には中華2SC2314を使う事にした。中華人民共和国では同じ型番の半導体素子でも製造元が複数有る事が多い。今回使用した2SC2314は恒星微科技电子と言う販売店から購入した製品で、製造元は不明。トランジスタチェッカーとLCR計で他の中華2SC2314と比較すると、コレクタ-ベース間容量がデータシートの倍もある事が特長。データシートの値、25pF程度というのは三洋電機のデータシートにあるCob-Vcbグラフからコレクタベース間電圧1.5V程度のところを読み取った値。

2SC1815で増幅した信号を7K型同調コイルの2次側で受け、C級増幅をする。エミッタ接地C級増幅回路の出力インピーダンスを計算する方法が分からなかったので、他の作例を参考にFT37 #43のトロイダルコアで作ったインピーダンス16:1のトランスを介して出力。
ファイナル段の入力インピーダンスが25Ωとすると、逆算して励振段の出力インピーダンスは400Ω。

シグナルジェネレータ(以下、SG)からVXO代用の信号をキャリア混合回路に入れて、励振段の出力を確認する。SGの出力が29mVで励振段の出力が+20dBm(100mW)となった。SGの出力が30mVで2SC1815増幅後の出力が+10dBm程度なので、コイル、トロイダルコア含めた2SC2314励振段の利得は+10dB程度。意外と少ない。

C級増幅なので盛大に高調波が出る。この程度の電力であれば、励振段の出力をコア付きコイルにしてC級増幅で大量に発生する高調波を少しでも低減してから手段に送った方が良いのか、ちょっと迷うところ。

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トロイダルトランスの周波数特性

励振用トランジスタのテストに使ったFB801-#43とFT37-#43のトロイダルトランスについて、周波数特性を確認した。
FB801-#43は巻線比2:1入力側トランス。前段からの信号をコア付きコイルの2次側で受けた場合を想定。出力インピーダンス50Ω(typ)の信号源を使った場合でも、直接入力より特性が良かったので使用。
FT37-#43は巻線比4:1として終段素子の出力インピーダンスを1kΩ程度と想定して出力インピーダンス50Ωに整合させている。

nanoVNAで1~100MHzのS21を測定した。
信号出力、入力共にインピーダンスは50Ωなので、インピーダンスが不整合な状態での測定になるため、予め想定されるインピーダンス不正堂によるロスを試算すると、FB801-#43、巻線比2:1入力トランスは-2dB、FT37-#43、巻線比4:1出力トランスは-6.5dBとなった。
実際の測定では、FB801-#43、巻線比2:1入力トランスは30MHzまでフラットな特性。入力に対して-2dBのロスが発生。
FT37-#43、巻線比4:1出力トランスは1~30MHzまでの変化が1dBでフラットではない。また、入力に対して-7~-8dBのロスが発生。
共にHF帯の測定には問題のない周波数特性で有る事が確認できた。

信号出力側に用いているFT37-#43、巻線比4:1出力トランスの入出力特性を測定したところ、このトランス自体が+20dBm(100mW)を超えた辺りで飽和していた。FT37-#43の飽和点を調べずに1W程度は使えるだろうと思い込んでいたが、意外に早く飽和した。
FT50-#43のコアで同様の巻き線で作ったトランスに代えて測定すると、測定信号源の最大出力である33dBmの入力迄、出力は直線的に増加。どの程度の電力迄使用できるのかは、信号源が準備できてから調べてみたい。
周波数特性は30MHzまでフラットで、そこから-3dBは63MHzとなった。

 

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中華 2SC2314 の実験

中華製2SC2314をドライバー段に使おうと思い、特性を確認しました。購入先は半導体素子を扱っている販売店で、これらの半導体を使った製品は扱っていない様です。
正品(規格に合った商品という意味)、质量保证(品質保証)で1つ0.8人民元(日本円で約16円)とお買い得です。
他に2sc1970も1つ2.4人民元(日本円で約48円)と、既に製造中止になって久しいトランジスタが安価で販売されています。
QRP機のAM送信励振段、またはCWやSSBの終段への使用を想定して、可能性を確認しました。

評価回路は簡単なC級増幅回路として増幅度と周波数特性を確認しました。
ベースへの入力にはインピーダンス変換4:1のトランス(FB-801#43 0.20UEW 2本 x 4t)を準備して、トランス使用時と未使用時を比較します。ベース抵抗は47Ωとして入力信号を受けます。
コレクタの出力はインピーダンス比16:1のトランス(FT-37#43 0.20UEW 4本 x 5t)を介して50Ω負荷を接続します。

信号源として使用するシグナルジェネレータ(以下、SG)の出力インピーダンスは50Ωなので、そのままベースに接続しても良さそうに思います。予備実験として入力トランスを接続した状態で、出力が+20dBm(100mW)になるように10MHzのSG信号出力を調整し、その状態を維持して入力トランスをスキップさせた出力電力を測定しました。
その結果、4:1のインピーダンス変換を入れた方が出力が+2dBm高くなりトランスの損失を上回って効率が高くなるという結果になりました。また、この時のSG出力は+10.7dBmで、23c2314の利得は10.8dBでした。以後、入力トランスを使って測定を進める事にします。下の画像は30dBアッテネータを入れてtinySAで測定したデータです。

この、10MHzで出力電力20dBmを基本に、周波数を変えて出力電力、増幅度は次のグラフの様になりました。tinySAに入れている30dBのアッテネータを補正した後の値です。
入力信号レベルは+11dBm程度で、測定した範囲の周波数でレベルはほぼ一定です(測定範囲を1~100MHzとしたtinySAのバラツキが出ていると思う)。
入力の4:1インピーダンス変換トランスの有無で利得、周波数特性共に大きく差がある事が分かりました。インターネット上の事例を見ると2SC2314は50MHzでも15dB程度の利得がありそうでしたが、10~20MHz程度で利得がなくなり、低い周波数でも電力利得は10dB(入力トランスを使った場合)しかありません。とても高周波用の特性ではない様です。

ある周波数を超えると急激に利得がなくなる事から、ベース入力電圧がC級動作に必要ななのでベースエミッタ間飽和電圧以下のになってしまう可能性を考えました。
SANYOのデータシートではVcb=10V、f=1MHzでCobは15pF、MAXで25pFとなっています。Cob-Vcbのグラフを目分量で見て、Vcb=1.5Vで25pF程度でしょうか。
実際にLCR計でコレクタとベース感の静電容量を測定してみると、約460kHzで49pFありました。

SGから11dBmの電力を50Ωの負荷に供給した場合の電圧は0.79Vです。大雑把な見立てですが、信号源(SG)を出力インピーダンス50Ωの定電圧元、この増幅回路の利得を10dBとしてミラー効果によりベースから見た静電容量容量を490pF(49pFの10倍)、トランジスタの入力抵抗をベース抵抗の47ΩとしてSGからの出力が内部抵抗と入力インピーダンスでどの様に分圧されるのかを計算してみると、入力インピーダンスを47Ωと見れる十分に低い周波数に対して18MHzでは半減する事になります。この結果、ベースの入力電圧がベース-エミッタ飽和電圧以下になったのではないかと思います。
ご注意:考え方に技術的な誤りがあるかもしれません

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7MHz AM トランシーバ送信部のキャリア生成

12MHzのクリスタルフィルタ、12.2MHzのVXOを使って7MHz、AM送信回路のキャリア生成部分を製作しました。
SA612AN(多分、非正規品)のローカル発振器で12MHzの信号を作り、VXOの信号との差で7MHzのキャリア信号を生成します。
生成した7MHzの信号は2SK241Yで受けた後、複同調回路を通して2SC1815GRの緩衝増幅を経てドライバー段に信号を伝えます。緩衝増幅回路(左回路図)までを組んで全体の動作確認をします。

最初に[測定点1]にオシロを接続して12MHzの発進を確認します。発振周波数はトリマコンデンサで別途作成したクリスタルフィルタの中心周波数に調整しますが、ここではおおよそのところに調整。事前にブレッドボードで発信を確認しているICとパラメータなので、特に問題なく発信します。オシロで測定した発信電圧は 42.7mVrms、138mVp-pでした。

最初にSA612ANの1番ピンに入力するVXO代替のSG(シグナル・ジェネレータ)からの信号電圧と、4-5番ピンに接続したコイル2次側[測定点2]の出力との関係を確認します。
現在使えるオシロの最小電圧スケールは50mV/divで数10mVの電圧測定では値が大きく変動しておおよその傾向をつかむことのできる測定精度が出ません。よって、1番ピンへの入力電圧はSGの出力電圧設定値(表示値)を使い、4-5番ピンに接続したコイル2次側の出力はtinySAでdBmを測定しています。
入力に対して出力が直線的に増加するのは、入力信号が40mVp-p程度までになりました。50Ω不可と仮定して-50dBmくらいでしょうか。6-7番ピンの局発信号電圧と同程度の数100mVp-p程度までは入力できるかと思い込んでいたので意外でした。

SA612ANからの出力信号を2SK241、2SC1815の格段で増幅した時の格段の信号レベルが左のグラフです。複同調回路でのロスも含めた2SK241段の増幅度は10dB、出力同調回路を含めた2SC1815の増幅度は33dB。入力信号が40mVp-pでの2SC1815出力電力レバルは+12dBmとなりました。
もう一段、励振回路を入れて100mW(20dBm)程度の電力を得られるようにしたいと思います。

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広帯域小電力パワーアンプ

送信機終段をテストする時のドライバーとして広帯域小電力パワーアンプを買ってみました。
50mm x 50mmの大きさでヒートシンク付き。2W出力で50元。円安の現在、日本円で約1,020円です。
主な仕様は、
電源   12V 300~400mA
周波数範囲  1~930MHz
入力    1mW(0dBm)
出力
10MHz 2.0W(33dBm)
512MHz 1.6W(32dBm)
930MHz 1.0W(30dBm)
のようになっています。
使用している素子は判別できませんでしたが、ドライバーと電力増幅の2段構成の様です。電力増幅素子には電源電圧(12V)を直接、ドライバーには5Vを供給しています。

この基板単体に12Vを供給してnanoVNAでS21の周波数特性を図ってみました。nanoVNAのPORT1には40dB(30dB+10dB)、PORT2には20dBの合計60dBのアッテネータを入れています。増幅度は10MHz:50.9dB、500MHz:37dB、930MHz:32dBとなり、HF帯ではかなり大きな増幅度になっていました。広帯域には違いありませんが、なかなかフラットな増幅度、という事にはならないようです。
この時の電流は230mA程度で、付属のヒートシンクは指で触れる(持つ)ことはできますが、かなり熱を持っていました。

基板が裸では使いにくいのでアルミケースに入れる事にします。こちらでは板厚1mmm程度の加工しやすいアルミケースは出回っていませんが、2mm位の押出材による頑丈で、立派なケースが入手できます。加工が大変ですが、付属のヒートシンクは直接基板にネジで止められているだけなので、熱伝導グリスを付けてケース上蓋を挟んでネジ止めすれば、穴加工だけで簡単に収められそうです。角穴が不要なのは大助かりです。また、ケースをヒートシンクとして使うことができ、放熱の面でも安心です。

信号線の配線は基板のSMA座を外してパターンを修正(カット)してIPX座に交換し、既成のIPX-SMA線を使う事にしました。
IPXコネクタは初めて使いましたが、コネクタが意外にしっかりと勘合してスペースも最小で済み、なかなかFBです。IPXコネクタを付けたケーブルはちょっと、自作できそうにありませんが、用途に合った出来合いのケーブルを入手できれば便利です。

使用したアルミケースの各部品は綺麗にアルマイト処理がされているので、ケース全体の導通を取るために部分的にアルマイトを削って基板を実装しました。
基板とヒートシンクに塗った熱伝道シリコングリスが多すぎて基板のTHやヒートシンクとケースの圧着面からはみ出し、ちょっと大変な事態になりました。ヘアライン加工してあるアルミにはみ出したグリスを綺麗にふき取ることは諦めて完成。

SGから10MHzの信号を入れて出力電力を測定してみました。1Wは問題なく出力します。SGからの入力電圧を上げても2Wまでは出力しません。およそ1.5W以上になると入力電圧を上げても出力電力の増加が頭打ちになります。
飽和するまで出力を上げてもヒートシンクは本当にわずかに暖かくなる程度で、ケースに実装したことによる放熱効果は意外な程に絶大です。これなら1W前後の出力を続けても安心して使えます。

供給電圧を12Vとした場合の10MHzと55MHzの入出力特性は左のグラフの様になりました。
最大出力は25~30dBm程度なので、1W弱になります。無理して入力を増やしても32dBm程で飽和するので、12Vで出力2W(33dBm)は無理という結果になりました。
10MHz信号の高調波は、出力10dBm(10mW)程度でも2次高調波が基本波から-30dB程も出ます。
出力20dBm(100mW)で-20dB。出力30dBm(1W)では2次高調波の-14dB以下、3次、4次・・・と盛大に出ますので、使用時にはフィルタや同町回路を入れる等の検討が必要です。2Wは眉唾でも、1W+α程度までは大きな問題なく出力できる事を期待していたので少し残念な結果でした。

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マルチ ファンクション テスタ LCR-T7 バッテリー交換

マルチ ファンクション テスタ、LCR-T7 (購入時価格 62人民元)はトランジスタ、FETのピン配置とhfeやIdss等の簡単な特性を容易に確認できるので重宝しています。コンデンサの測定範囲は最小25pFから。コイルは0.01mHからとなっており、L、Cについては無線工作用途としては最小測定値が高いので別のLCR計を使っています。
特性だけでなくピン配置もいい加減な製品も売られている国での電子工作には不可欠な測定器です。
最近は充電用のUSBケーブルがUSB-C仕様になった製品が売られている様です。

本製品はバッテリー内蔵式ですが、少し前からバッテリーでは全く動作しなくなり、毎回、USBケーブルで5vを給電しながら使用しており、いい加減、不便を感じるようになったので内蔵バッテリーの交換をしました。

4本のビスを外すと簡単に裏蓋が外れて容易にバッテリー交換が出来ます。3.7V 350mAhのリチウムバッテリーです。
びっくりしたのはバッテリーの大きな凹み。リチウムバッテリーでこれはヤバイだろう!
いつ発火、爆発するのか、時限爆弾を抱えているようなものです。
しかも、基板の実装部品と傷の大きさ、位置などが全く合いません。基板上の部品とケース裏蓋との圧力で付いた傷ではなく、元々、ダメージを受けているバッテリーを実装して出荷、販売した様に思えます。中華、アルアルですね。
YouTubeにも中華電源など、ケースを開けたらビックリ、という動画が何本も出ていますが、確かに、中華電気製品は内部を確認しないと危ないと思います。
発熱等の問題が出る前にバッテリーが駄目になり、交換を思い立ったのは幸いでした。

オリジナルのバッテリーは厚さ3mmに厚さ1mmのクッション性のある両面テープで固定されていました。
基板表面からケース裏迄の間隔を測ると11mm。バッテリーに当たる可能性がありそうな基板上の部品、リード線の高さを測ると、ダイオード2mm、16MHz水晶発振子2.5mm、基板から出ている最も長いリード線が3mmでした。交換するバッテリーは厚さ8mm未満にすれば基板と干渉すること無しに実装できそうです。

購入した交換用のバッテリーは3.7V 1,000mAH 厚み5.2mm仕様の製品です。13.8人民元(日本円で300円弱)。目にした販売業者で一番薄い、厚み5.0mmの製品は容量が250mAHしか無かったので、ちょっと欲を出して大き目の容量にしました。このテスターは自動パワーオフで、そもそも連続して何時間も使うようなものでは無いので大した意味は無いような気がします。
厚さについては問題ないはずです。
製品の品質については安全、防爆、耐久性のあるA級品質製品、という触れ込みのバッテリーですので、これなら安心です?

並べてみると購入したバッテリーは少し大きくて、コネクタも付いていない事に、今更のように気が付きました。コネクタを付け替えて、基板面の端子とバッテリーの位置を調整して元の両面テープを使って固定します。
バッテリーをつなぐと、バッテリーに残っていた電気で直ぐにテスターを動作する事が出来ました。USBから充電しても特に発熱などの異常がないことを確認して完了です。

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中国購入SA612ANの発振実験 ~その3~

中華人民共和国国内では既に生産中止になったトランジスタ、FET、ICなどが販売されている事が多く、うまく使える部品に当たれば安価でとても便利です。
がしかし、半導体部品は全くのインチキ(ピンアサインが違う!とか)、特性がどう見てもおかしい、バラツキが異常に多い、などが普通であり、それなりの覚悟とアキラメが必要です。ちなみに、ほとんどの販売者はこのような製品を、本物、又は偽物でも使える、と信じているようで、返品などのクレームを付けても全く話になりません。データシートを提供できないのは勿論ですが、たくさん売れている、とか、台湾製はこのような仕様なんだ、とか、まーッたく話になりません。

さて今回、AMトランシーバーを自作するにあたり、以前に“Frogs calling QRP1.8W Kit”のNE602を差し替えて簡単に実験した時に購入して、手持ち個数の多い、いい加減なNE602AN、又はSA612ANモドキを使うことにしました。事前に印加電源電圧と内部発振回路出力との関係を調べてみたのでデータだけですが備忘録として残しておきます。

測定回路はNE602ANの6,7番品を使った水晶発振回路飲みを動作させて、7番品ので発進電圧(Vp-p)をオシロスコープで測定しました。
実際にトランシーバーの局発に使おうと考えている回路で、40pFのトリマー周波数微調整用ですが、この実験では適当に発信するところで固定します。
NE602AN、SA612ANの定格電圧は4.5V~8Vですが、諸OMが公表されている自作回路などを拝見すると低めの5Vで動作させている例が多いように思います。ICの発熱を低くしてドリフトを抑えようという意図でしょうか?

購入先の異なる3種類の測定結果は左の表のとおりです。
型番表示が最も薄いICは5個を測定しましたが全く発信しませんでした。
他の2種類も、データシートにある最低動作周波数、4.5Vでは発信しません。
購入先が一緒でも発進電圧のバラツキが大きいものとそうでないものがあります。
選別して使うなら良いのですが、ランダムに使い場合には6V以上を掛けた方が良いように思いました。

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VXO

12MHzのクリスタルフィルターと組み合わせて7MHzのAM交信を聞く受信機を製作しようと思い、19.2MHzのVXOを作成しました。周波数範囲は7MHz帯のAM交信で使われている7,195kHzと7,181kHzの様です。
できれば50kHzの可変範囲幅を確保して受信範囲を7,150kHz~7,200kHzとしたいところです。受信する電波形式はAMのみなので実際には30kHzの可変幅があれ場要は足りそうです。このような仕様であればシンプルな回路で実現できるVXOの出番です。

基本回路は2つの推奨発信師を用いたFETによるスーパーVXOとして、トランジスタによるバッファアンプとの組み合わせにします。
発振回路にははトランジスタとFET、どちらが良いのでしょうか?
インターネットの諸先輩の例を拝見するとトランジスタを使っている方が多いような気がします。特段の根拠はないのですが、手持ちの多かったFET(中国内で購入したサードパーティ、又はコピー品、又は単に偽物)を使う事にしました。バッファアンプのトランジスタ、2SC1815も素性は同様のものです。

VXOコイルはこちら(中華人民共和国)の通販で購入した7kのコア付きボビンにφ0.1mmのポリウレタン銅線(UEW)を、1つの溝に10回巻いてピンに取り出し、合計40回巻いてどの足に接続するかで、巻き数(インダクタンス)の変更ができるように作りました。

出来上がったコイルのインダクタンスは40tで14uH程度になりました。
他のVXO記事でVXOコイルはよく、10uH程度と紹介されていますので、マアマアの出来でしょうか?

VXOでよく使われている20pF程度のバリコンを探しましたが見つからなかったので、とりあえず、エアバリコン1つと、2つのポリバリコンを準備しました。
2連エアバリコン(写真左)は12~250pFと12~290pF。
大きい方のポリバリコン(写真中央)は4~270pFと4~20pF。
小さい方のポリバリコン(写真右)は最大が140pFと60pF。という仕様です。

最初にVXOのコイルと可変コンデンサを短絡して、水晶発振子だけの発信周波数を確認すると19,201,570Hzとなりました。
意外な事に表示周波数より高い周波数で発信しています。
別途作成したIF用の12MHzクリスタルフィルターの通過帯域中心周波数は11,999,500Hzなので、7,195kHzを受信するにはVXOの周波数が19,194,500Hzになります。受信範囲の目標を7,150kHz~7,200kHzとすると、VXOの可変範囲は19.148MHz~19.200MHzできるようにVXOの調整をする必要があります。

次に水晶発振子と直列にVXOコイルのみを接続して周波数を測定してみると、40t、30tのタップ位置では発信しませんでした。VXOコイルは10uH程度、という記事をよく目にするのでこれはちょっと意外。20tのタップを使う事にしました。

バリコンを取り換えながら発信周波数を確認し、最終的には4~270pFと最も容量可変幅の大きい2連ポリバリコンを使用し、コイルのコアを調整して19.145MHz~19.208MHzになるように調整しました。VXOのバリコンには良く20pF程度のものが使われていますので、これはちょっと、異常に大きな容量です。
バリコンと並列に小容量のコンデンサを追加することで可変幅を大きく狭めることなく全体の周波数を下げられそうですが、目的の周波数範囲は確保できているのでVXOの可変範囲の調整はひとまず完了とします。

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RF広帯域アンプ

ノイズジェネレータや測定対象信号のレベルを上げる為にRF広帯域アンプ基板を購入しました。
価格は26元、日本円換算で440円程です。
2GHzでも20dBの増幅率。P1dB(1dB利得圧縮点)は+10dBm(10mW)、電源電圧は6~12Vとなっています。
使用する周波数は数百MHz程度までなので、その範囲でフラットな利得を得られればOKです。
P1dBが+10dBm(10mW)と言う点は信号レベルに気をつける必要があります。
使用しているMMICにはN02の標記があるので、INA-02184 の様です。INA-02184 のデータシートでは入出力インピーダンス50Ω。3dB帯域上限が0.8GHz。ゲインは0.5GHz 31dB(Typ)、1.5GHz 26dB(Typ)となっています。MMICに掛ける電圧は標準5.5V、最大7.0V。許容最大電流は50mAです。

最初に基板に掛ける電圧を変化させて、MMICに流れる電流、利得と周波数特性の変化を確認しました。電流はMMICへの回路に直列に入っている、実測177.7Ωの抵抗の両端電圧から換算しています。
基板への供給電圧が12VでMMICに掛かる電圧は5.4V、電流は37mAでした。データシートにある標準的な動作電圧になっています。
6V動作では増幅度が低く、周波数が高くなるにしたがって増幅度の低下が大きくなります。増幅度、ゲインの平坦性などでINA-02184 本来の特性を出すには基板に10V以上の供給が必要で、販売者情報の最大電圧、12Vでも良さそうです。
10V以上の電圧では周波数特性は200MHz程度まで増幅度の低下は殆ど無く1MHzからフラット。-3dBの帯域も900MHz付近まで伸びています。

最終的には電源に24Ωの抵抗を直列に入れて、12Vの供給で基板には11.2V程度の電圧を供給する様にし過電圧保護としました。準備した小型のアルミケースに実装するにあたり、SMAコネクタを外してRG-174を直接接続しています。
シールド効果を確実にするため、ケースを構成する各パーツの接触部はアルマイトを削り、導通を確認しています。
最終的にINA-02184 のデータシート通り、0.8GHz付近までほぼフラットに30dBの利得があるRFアンプとなりました。

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