AVR ATMEGA16A DDS信号発生器キット

DDS信号発生器購入今年の労働節連休は他国へ旅行できる状況では無いので、自宅で電子工作でもしようと、いくつかのキットを購入しました。
これはAVRマイコンのATMEGA16Aを使用したDDS信号発生器のキットです。ATMEGA16Aを使用したDDS信号発生器は以前からインターネットでいろいろなバリエーションの記事が紹介されています。
但しキットに付属のATMEGA16Aは、光の加減と拡大鏡を使ってやっと判読できる程度に文字が消されおり、中華人民共和国では良く流通している非正規品ではないかと思われます。本投稿にある本製品の特性はこのATMEGA16Aを用いてのもので、他のAVRを用いた場合の特性とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

 

DDS信号発生器キット内容

キット内容

キットの内容は基板、LCDディスプレイと実装する部品一式。送料込み、45.80元(日本円で約700円)は、日本ではとても考えられない低価格です。その代わり、組み立てに関する情報は、販売webの中も含めて、何も有りません。中核になるAVRマイコンや回路動作の解説はムリにしても、このキットの回路図でもあれば嬉しいのですが、パーツリストも無く素っ気ないキットです。販売店の商品説明の冒頭には「この商品には説明書が有りません。本店はいかなる技術サポートも提供しません。購入前に良く検討してください。」と朱書きされています。
特に親切な解説と組み立てアドバイスが有り、制作過程から楽しめる事が多い米国のアマチュア無線関係キットとはコンセプトが違うように思います。中華人民共和国ではこのようなキットが沢山、安価に販売されています。ある程度の知識と経験が有るユーザーが対象なのでしょう。
念のため組み立て前に基板のシルク印刷から必要な抵抗、コンデンサ、他の部品のリストを作成し、送られてきた内容物と照合する事で簡単に組み立て手順の方針を決めました。

基本的な仕様は以下の通りです。

  1. 出力波形 正弦波、方形波、三角波、正/逆のこぎり波、ECG(心電図波形)、ランダムノイズ
  2. DDSの最大出力周波数 65,535Hz
  3. 1,2,4,8MHzの高速信号(方形波)
  4. 電源 DC ±12V、5V

基板から回路構成を確認すると、AVRで生成したDDS信号はオペアンプ、LM358でオフセット調整(OFF SET)、レベル調整(AMPLITUDE)をしてDDS OUTに出力されるようです。HSはAVRマイコンからの出力がそのまま出力されているようです。
部品はシルク印刷を見ながら実装します。このキットは部品点数が少ないので、抵抗の値、ICの向きなどに注意する程度で簡単です。
タクトスイッチはちょっと見た目には真四角のように見えますが長辺と短辺が有り、基板の実装穴とピンの位置が合う向きで取り付ければOKです。

電源は直流安定化電源から±12Vと+5Vを供給します。5VはAVR用だと思います。12Vから5V電源を生成する回路が基板に乗っていれば便利ですね。
電源を入れて最初に10kHzの正弦波を出力してみました。

正弦波の波形が歪んでいます。これはオシロで波形を確認しながらOFFSETで調整して目視で正弦波らしいところに合わせます。
出力周波数10kHzとした時の各波形モードの出力波形を確認します。Noiseモードに関しては設定周波数に関係ありません。

さして高くない周波数の10kHzでも方形波(Square)は台形、鋸波は三角波のようになりました。更に信号には盛大にノイズが乗っています。
試しに周波数を半分の5kHzにしてみます。
大きな改善は見られません。周波数応答が悪いです。

周波数を20kHzにあげてみました。

最高周波数限界の65kHzです。
正弦波、方形波、鋸波など、三角波になってしまいました。

次にHS(HightSpeed)モードで信号を出してみます。
どこかで異常発振でもしているのでしょうか。低周波と同様に酷いノイズが乗っています。また、周波数応答性が悪い特性が出ています。HSモードの信号はAVRのピンからバッファアンプ無しに直接BNCで出力されているので、AVRの特性が出ています。

DDSを用いた専用ハードウェアの信号発生器という事で信号の正確性を期待していましたが、意外な特性で期待外れでした。操作性に関しては信号生成PCソフトの方が良いので、PCソフトではカバーできない周波数の信号など、必要な信号に応じて使い分ける事になりそうです。

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