DDS Signal Generator FY6800

中国、FeelTech社のシグナル・ジェネレータを購入した。
サイン波で有れば60MHzまで出力できるFY6800-60MHz。
外装はプラスチックで出来ており、あまり精度は良くない。取り出してみると意外なほどに軽い。スペック表では700gとなっている。パネルのスイッチ操作で本体が動いてしまい、少し使いにくい。
電源はAC100V~240V対応となっており、日本に帰ってからもそのまま使える(現在、中華人民共和国在住)。
表示言語は中国語と英語が可能。周波数表示の3桁区切りカンマが何故かアポストロフィになっている点はちょっと違和感がある所。

1.内部構造
製品内部の構造を確認した。電源はスイッチングレギュレータでAC100V~240Vの入力にに対応している。メイン基板に切り抜きを付けて電源基板をレイアウトしている。ケースはボトム、及びトップカバーに適当な間隔で基板取り付け用のボスが立っており、電源基板をこのボスを利結おうして取り付けるために、干渉するメインに切り欠きを付けた様に思える。
スイッチングレギュレータからの出力にノイズフィルターが入っておらず、レギュレーター本体はむき出しでシールドされていない。電源基板の定電圧出力とメイン基板の電源入力コネクタは殆ど隣り合っている近い位置にあるが、電源を接続するコネクタケーブルは不必要に長い。シャーシも樹脂のままでシールドが全く施されておらず、信号へのノイズ重畳、及びシグナルジェネレータ本体からの直接のノイズ放射が心配になる。

2.マニュアルの入手
出力できる信号波形は、予め準備された23波形に加えて、ユーザーが自分で設定した波形の出力も出来る。機能、性能を説明したユーザーマニュアルやPCから制御する為のソフトは CmsEasy_file_ide.zip というファイルに一括して入っており、FeelTech社のサイトからダウンロードした。

3.無信号ノイズの確認
仕様では出力信号のレベルは最小、1mVppからとなっている。正弦波信の場合、実効値で0.7Vrmsとなる。電源の仕様からスイッチング電源を使用していると思われ、筐体も樹脂製でシールド効果も期待できないので、まずはノイズレベルについて確認してみた。
ノイズ測定にはOWON社のオシロスコープ、NDS1102S。帯域100MHzの中国国内モデルを使用。FY6800のBNC出力端子を同軸ケーブルでそのままオシロに入力する。
オシロの入力モードはACとDC、それぞれで測定。FY6800は周波数を1MHz、出力レベルを0(ゼロ)に設定した上で、①CH出力ON、②CH出力OFF、③パネル前面電源OFF、④元電源OFFの4条件で測定。
オシロの測定電圧表示で実効値とp-p電圧を読み取った。
オシロ入力のACとDCで測定した実効値を比較すると、CH1で2mV前後、CH2で1.4mV程度の直流バイアス(オフセット)が掛かっているようだ。
マニュアルで確認すると本機には1mVpp精度でのDCオフセット機能があるが、オフセットゼロでの測定値であり、ちょっと困った問題。

肝心のノイズレベルをAC入力モード(DCカット)で測定するとCH1、CH2共に①CH出力ONで実効値0.4~0.5mV、p-pで1.3~1.4mV。②CH出力OFF、③パネル前面電源OFF、④元電源OFFの条件では実効値0.3mV、p-pで1.0mV前後で変わらず、これは測定系の暗ノイズ。CH出力ONで実効値0.1~0.2mV程度、p-pでも同様に0.1~0.2mV程度のノイズが乗る結果となった。出力レベルの解像度、1mVという仕様なので、何故か漏れているDCオフセットをカットすれば問題ないレベルだ。

4.正弦波出力
正弦波は最高60MHz、p-p5Vという仕様なので、出力を1Vp-pに設定して周波数を変化させて出力波形と電圧を確認。10MHzまではほぼ設定した1Vp-pの電圧を出力するが、より高い周波数では電圧が低下。60MHzでは0.75mVp-p程度に落ちる。電圧値を問題にする測定では出力電圧を測定、確認して使用する必要がある。

波形は、使用しているオシロの帯域が100MHzしかない事もあり、問題の無い正弦波。出力電圧を60MHzでは最大の5Vp-pに設定してFFTで高調波成分を確認する。オシロの電圧実測値は3.9Vp-p、5Vp-pは出ない。DDSなので心配していたが基本波に対して2倍、3倍などの高調波はマイナス40dB以下であり、価格からすれば妥当なレベルという印象。

5.矩形波出力
出力を1Vp-pに設定して確認。仕様では矩形波の最高出力周波数は20MHzとなっているが、20MHz以上の周波数設定も可能。但し、波形がどんどん正弦波に近くなってくる。
矩形波らしい波形を出力できるのは1MHz程度まで。

各周波数のFFTは以下の通り。周波数が上がるにつれて、含まれる周波数成分が荒くなっている。

6.鋸波出力
鋸波の最大出力電圧、20Vp-pでの波形。これもやはり、鋸波らしい波形は1MHz程度までだ。

更に出力電圧を1Vp-pに設定して立ち上がり部を確認すると、立ち上がり部分の直線性が1MHz以上では悪化する。用途によっては注意が必要だ。

7.周波数カウンタ
周波数の測定レンジは0.01Hz~100MHz。回路構成が分からないが、DDSと同じクロックを基準に周波数をカウントして居るのだろうと思う。そうすると、シグナルジェネレータの出力を周波数カウンタで測定しても100%の精度で表示されるはずだ。やってみた。
意外にも出力を60MHzししてカウンターで測定すると2~3Hz程高い周波数を示す。周波数カウントの校正機能は見当たらない。
マニュアルによると入力信号レベルは1.5V以上となっており、実測では入力信号レベルが1.4Vp-pまでは60MHzを示すがそれ以下の電圧では正常な値を示さない。カウントエラーが発生するようで、低い周波数を示すようになった。
最大入力電圧に関して、フロントパネルの表示は20Vrms未満と表示されているが、マニュアル、及び周波数カウンタの液晶表示画面では最大5Vとなっている。5Vと考えて入力電圧に注意した方が良さそうだ。

信号レベル、信号の正確さは価格なりの簡易信号発生器のレベルだが、総じて価格の割に十分使える性能のシグナルジェネレータだと言える。信号のスイープ(周波数、電圧)などの機能も有り、アマチュアの測定、実験等に使い勝手のある製品のように思う。

カテゴリー: 測定器, 電子工作 タグ: , , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です