水晶発振子のLtspiceモデル作成

12MHzの水晶発振子で無線機自作用のラダーフィルターを作成しようと思い、まずは200個34元(人民元。日本円で600円弱)で購入したHC49Sタイプの12MHz水晶発振子の中から適当な50個に番号を振り、周波数を測定しました。
発信回路はアンバッファタイプのインバータIC、74HC04による簡単なものです。
周波数カウンタのゲート時間を10secにして基本的には最初の10secカウントの値をデータとし、飛び離れて異常値を示す水晶は測り直して確認します。
購入価格からして製造後の品質確認などは省略されている製品であろうと、ばらつきには少し心配していましたが、実際に測定してみると案の定、とんでもなく外れる水晶もあります。しかし概ね12MHz+1,700Hz前後で発信していました。このデータから、値の最も近い6個を選びます。周波数のばらつきの幅は42Hzです。
こちら(中華人民共和国)で電子工作をしていると、部品の価格と送料も安くてとても便利な一方、品質もいい加減、という事も良くあります。最近では、レジストの下でランドが裾引きショートしていたユニバーサル基板(これ、最悪です!)、トランジスタチェッカーでhfeは出て正常に見えるもののなぜか増幅しない2SC1815GRなど、部品品質が原因のトラブルは良くあります。

選別した6個の水晶発振子についてLtspiceのモデルを作成するため、Cp、Rs、L、Csを求めます。L、CsはCp、Rs、fs、fpを測定して計算で算出します。

 

端子間容量Csは容量測定器でそのまま計測します。
インターネットでは不明の場合は2pF程度とのアドバイスがありましたが、今回使用する水晶発振子の実測では3.3pF前後ありました。

 

fs、fpはnano-VNA を使って測定します。
私が使用しているNanoVNA-F V2の表記ではPORT1とPORT2の間に直列に水晶発振子を入れてGainを測定します。
最も利得の高くなる周波数がfs(直列共振点)、最も低くなる周波数がfp(並列共振点)となります。

Rsは水晶発振子をPORT1に接続し、リアクタンス成分が最小となる直列共振周波数付近の純抵抗値を測定します。私が使用しているnano-VNAでは測定周波数のポイントが荒く、きれいなスミスチャートを書くことができませんでした。
仕方がないので最も直列共振周波数に近い点でのR値を使いました。

測定した値からCsとLは計算式で求めます。
Cs = Cp*(fp^2 – fs^2)/fs^2
L = 1 / (4 * (PI()^2) * (fs^2) * Cs)
6個の水晶発振子の平均の値を使ってLtspice のモデルを作成します。
CsはfF(フェムト・ファラッド)レベルの値になります。fF11は、10の-15乗ファラッドで、pFより更に1000分の1小さい単位です。

早速、6個の水晶発振子の平均の値を等価回路に入れてLtspiceで特性を確認してみました。信号源、及び負荷のインピーダンスは50Ωとしています。
Simulation Command で設定するType of sweep はLinier に設定します。最初、通常の周波数特性確認と同じくOctave に設定してシミュレーションしたところ、水晶発振子の特性とは全く違う結果が出て悩みました。このような極狭い範囲の解析ではLinier を使うようです。
nano-VNAで測定したfs、fpとはズレていますが、nano-VNAの測定ポイントが荒いための誤差でしょう。とりあえずこれで、手元のHC49Sタイプ12MHz水晶発振子のモデルができました。
Ltspice の回路図でクリスタルのシンボルを出し、等価回路と同様にパラメータを設定する事で等価回路をクリスタルのシンボルに置き換えることができます。
そして、等価回路を、同じパラメータを設定したクリスタルに置き換えても、当然ですが、同じ周波数特性結果になります。
この水晶発振子のモデルを使って、ラダーフィルターの検討をしてみる事にします。

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