中華人民共和国では、オリジナルソースとしては既にディスコンになったICやトランジスタ、FETでも通信販売で容易に購入できることが多く、とても重宝します。ちゃんと実在するメーカーが製造しているものもあれば、製造者マークや型番が消されているなど、製造元不明の製品も多く出回っており、仮にメーカーマークや型番が鮮明に表記されていても本物かどうか、分かりません。
初段をFETで受けた高周波プリアンプを作ろうと思ったので、手元にある中華?FETについて、簡単に測定できるできるIdssを調べてみました。
以下の結果は、一般的なものではなく、上記の社会環境の中で購入した特定のサンプルの測定結果です。
2SK192A Y、2SK161 GR、2sk241 YとGR の4種類です。東芝のデータシートから主要な特性を抜き出したのだ、下の比較表です。どれもHFからVHFの小信号高周波増幅用として良く使われてるFETです。
ジャンクション(接合型)FETである2SK192AのYランクと2SK161のGRランクについて無作為に選んだ各3個について即t令した結果が左のグラフです。
2SK161は2SK192と比べてばらつきが少ない結果になりました。しかも、2SK161はドレイン-ソース間電圧の変化に対してドレイン電流はほぼ一定です。
一方、2SK192は3個を調べただけでもドレイン電流に1mAの違いが生じており、ドレイン-ソース間電圧の変化に対してドレイン電流の変化も大きめな事が分かりました。また、ドレイン-ソース間電圧の変化に対して2SK161のドレイン電流は一定ですが、2SK192は電圧に比例してドレイン電流も増加する傾向にあるようです。
MOS型シングルゲートFETでデプレッション+エンハンスメント型特性を持つ2SK241も同様にYランクとGRランクから無作為に選んだ各3個の特性を調べました。
GRランクの2sk241はドレイン電流のばらつきも少なく、想像した測定結果になりました。
一方、2SK241 Yランク品は測定した3個共に、一様におかしな特性です。ドレイン-ソース間電圧が1Vを過ぎるまでは殆どドレイン電流が流れず、2Vを超えるとドレイン電流が流れだし、ドレイン-ソース間電圧と比例してドレイン電流が最大定格の30mAまで特選的に増加する勢いです。ドレイン-ソース間電圧を7Vとしただけでも20mA以上流れ、ドレイン損失による発熱でドレイン電流がどんどん増加してしまいます。
チェッカーで調べてみるとPNP型のバイポーラトランジスタと表示されます。手元の2SK241 Yランク品の実態はどうも違う製品の様です。
[後日談]
2SK241 Yランクの測定結果があまりにもおかしいので、2SK241 GRランクを購入した販売店にYランクを発注して測定し直してみました。
左グラフの2SK241Y-#4~#6が買い直したFETの測定値です。2SK241Y-#1~#3は測定の問題ではなく、素子がオカシイという事がはっきりしたので潔くポイする事にしました。
中華アルアルですね。