広帯域小電力パワーアンプ

送信機終段をテストする時のドライバーとして広帯域小電力パワーアンプを買ってみました。
50mm x 50mmの大きさでヒートシンク付き。2W出力で50元。円安の現在、日本円で約1,020円です。
主な仕様は、
電源   12V 300~400mA
周波数範囲  1~930MHz
入力    1mW(0dBm)
出力
10MHz 2.0W(33dBm)
512MHz 1.6W(32dBm)
930MHz 1.0W(30dBm)
のようになっています。
使用している素子は判別できませんでしたが、ドライバーと電力増幅の2段構成の様です。電力増幅素子には電源電圧(12V)を直接、ドライバーには5Vを供給しています。

この基板単体に12Vを供給してnanoVNAでS21の周波数特性を図ってみました。nanoVNAのPORT1には40dB(30dB+10dB)、PORT2には20dBの合計60dBのアッテネータを入れています。増幅度は10MHz:50.9dB、500MHz:37dB、930MHz:32dBとなり、HF帯ではかなり大きな増幅度になっていました。広帯域には違いありませんが、なかなかフラットな増幅度、という事にはならないようです。
この時の電流は230mA程度で、付属のヒートシンクは指で触れる(持つ)ことはできますが、かなり熱を持っていました。

基板が裸では使いにくいのでアルミケースに入れる事にします。こちらでは板厚1mmm程度の加工しやすいアルミケースは出回っていませんが、2mm位の押出材による頑丈で、立派なケースが入手できます。加工が大変ですが、付属のヒートシンクは直接基板にネジで止められているだけなので、熱伝導グリスを付けてケース上蓋を挟んでネジ止めすれば、穴加工だけで簡単に収められそうです。角穴が不要なのは大助かりです。また、ケースをヒートシンクとして使うことができ、放熱の面でも安心です。

信号線の配線は基板のSMA座を外してパターンを修正(カット)してIPX座に交換し、既成のIPX-SMA線を使う事にしました。
IPXコネクタは初めて使いましたが、コネクタが意外にしっかりと勘合してスペースも最小で済み、なかなかFBです。IPXコネクタを付けたケーブルはちょっと、自作できそうにありませんが、用途に合った出来合いのケーブルを入手できれば便利です。

使用したアルミケースの各部品は綺麗にアルマイト処理がされているので、ケース全体の導通を取るために部分的にアルマイトを削って基板を実装しました。
基板とヒートシンクに塗った熱伝道シリコングリスが多すぎて基板のTHやヒートシンクとケースの圧着面からはみ出し、ちょっと大変な事態になりました。ヘアライン加工してあるアルミにはみ出したグリスを綺麗にふき取ることは諦めて完成。

SGから10MHzの信号を入れて出力電力を測定してみました。1Wは問題なく出力します。SGからの入力電圧を上げても2Wまでは出力しません。およそ1.5W以上になると入力電圧を上げても出力電力の増加が頭打ちになります。
飽和するまで出力を上げてもヒートシンクは本当にわずかに暖かくなる程度で、ケースに実装したことによる放熱効果は意外な程に絶大です。これなら1W前後の出力を続けても安心して使えます。

供給電圧を12Vとした場合の10MHzと55MHzの入出力特性は左のグラフの様になりました。
最大出力は25~30dBm程度なので、1W弱になります。無理して入力を増やしても32dBm程で飽和するので、12Vで出力2W(33dBm)は無理という結果になりました。
10MHz信号の高調波は、出力10dBm(10mW)程度でも2次高調波が基本波から-30dB程も出ます。
出力20dBm(100mW)で-20dB。出力30dBm(1W)では2次高調波の-14dB以下、3次、4次・・・と盛大に出ますので、使用時にはフィルタや同町回路を入れる等の検討が必要です。2Wは眉唾でも、1W+α程度までは大きな問題なく出力できる事を期待していたので少し残念な結果でした。

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