ステップアッテネーター

相対的な信号レベルの比較や大きなレベルの信号を適切なレベルに調整する時など、汎用的に活用できるステップアッテネータを作成しました。

  無線関係の工作を趣味とする方には定番中の定番、山村英穂 氏著、『改訂新版 定本 トロイダル・コア活用百科 』を参考に作成しました。
 50Ωの測定系インピーダンスで使用する設計です。
 筐体は片面基板をカットして内部から半田で固定して構成しています。
 各アッテネータの減衰量は1dB、2dB、3dB、4dB、10dB、20dB、30dB。合計で70dBです。
 コネクタはBNCとしました。
 裏蓋はアルミ板をコの字に曲げて作成し、内部の筐体銅箔に半田で固定したナットを用いてビス固定する事で、筐体との電気的接続を得ています。
 3dB以上のアッテネーター間は同じく片面基板で作成したシールド板を設けてアッテネーター間の漏洩を防止します。
 出来上がってから眺めてみると、限られたスペースでの半田付けの苦労も忘れて、もっとスリムにして各抵抗器とグランド(ケース)間の距離を最短化出来 れば良かったかなと、欲が出てきます。それに、コネクタやスイッチはケース幅の真ん中に配置する必要は無いですね。
 スイッチは2回路2接点の一般的なトグルスイッチ。高周波特性を想像すると、だんだん大き過ぎるような気もしてきます。しかし、1/4W抵抗器を使うにはちょうど良い端子間ピッチです。
 各アッテネータの減衰量はこの抵抗で熱として消費する事になるので、むやみに小さくも出来ません。20dBカップラーと組み合わせて、送信機の出力信号の測定にも使います。
 粗い計算ですが、当局が免許を受けている最大送信出力は50W。20dBカップラーを介して信号を取り出すと-20dBは500mW(27dBm)になり、最大でこの電力をアッテネータで消費する可能性があります。過負荷や発熱に注意が必要です。
  配線はインピーダンスを下げるために銅板を使用しました。
 BNCコネクターは直接、スイッチに接続で切るように筐体の設計をし
 ます。
 筐体の設計には素人でも簡単に使える、LiliCad を愛用させて頂いて
 います。
 機能が必要十分で多すぎず、筐体設計程度にたまに使っても、使い方
 などで戸惑う事も無く、とても良いです。
 片面基板を筐体として半田付けは、60wの半田こてで出来ました。
 

1GHzまでの周波数特性を測定してみました。
1,2,3,4dBの周波数特性はスルー(どのアッテネータも入れない)と殆ど変わりません。
スルーと10dBでは周波数が高くなるほど減衰しています。信号が通過する7つのスイッチの減衰でしょうか。
3dB程度の変化の範囲は400MHz程です。
20dBは450MHz程度から減衰量が低下していきます。
30dBは50MHz以上はアッテネータになっていません。使えません。
10dBと20dBを併せて30dBとした場合は400MHz位までは使えそうです。
元々、使用している抵抗値も近似値のものを無選別に使って制作していますので減衰量の精度は良くありません。
信号を適当なレベルに調整するという程度の用途には、周波数スペクトルに大きく影響を与えること無く使えそうです。

測定方法
スルー(アッテネータ無し)
10dB
20dB
30dB
10dB + 20dB