2013年5月。オークションでTX-88Dを入手。
落札したTX-88Dは前オーナーより、
『電源は入りますが、シーメンススイッチを
CAL側にしますとヒューズが飛びます。組み立てたまま使用せずにそのまま
押入れにしまって置いたもので、誤配線または部品の不良があるものと思いま
す。現状では送信機として使用できません。』
との断り付きのものです。
目次
1.異常電流修理
2.電解コンデンサの交換
3.低周波増幅回路基板のリフレッシュ
4.回路変更、配線の改善
5.動作確認
6.無線局事項変更申請
シーメンススイッチをCALにするとヒューズが飛ぶとの情報と回路図から、B電源がONになると異常電流が流れるという事になる。
電源投入前に特にB電源関係を注意深く配線に誤りがないか確認。
配線の誤りは無いようだが、ハンダを過剰に使い過ぎている箇所が多い。
中にはハンダが垂れてシャーシとショートしそうになっている所がある。怪しそうなはんだ付け部はハンダ吸い取り機で余分なハンダを除去し、合わせてイモハンダもチェック。
配線に誤りがないことを確認し、真空管を全て外してからて電源を接続。
電源投入。シーメンスキーがRECの状態でしばらく観察し、異臭、異音などの発生がないことを確認する。
各部の電圧をチェック。無負荷なので電圧は高めだがヒーター電圧、ブロックバイアス電圧共に正常。
シーメンススイッチをCALにしてみる。瞬時にヒューズが飛んだ。
ほとんど短絡に近い電流が流れているようだ。
B電源の平滑回路から先の接続を外して各抵抗、コンデンサの絶縁をテスターで当たってみるが異常なし。
ヒューズを交換し、電源回路のみで再度同様に試みるが、結果は同じ。
電源回路そのものに問題がありそうなので、まずは最も電圧の掛かる倍電圧整流のダイオードとセラミックコンデンサを交換してみた。
しかし、これでもヒューズが飛ぶので、整流回路と平滑回路を切り離して電源を再投入。
整流後の電圧は出ており、最後に残ったのは平滑回路の異常。
配線の異常、テスターでの確認では異常が発見できないが、電源投入と同時にヒューズが飛ぶ程の電流が流れることから、ブロックコンデンサが怪しいようだ。