TX-88D                                                               HOME


5.動作確認








(1)高周波回路の確認
 本機は入手時点でCALにするとヒューズが飛ぶという状態でしたので、未だに真空管を挿入しての動作確認はできていません。下調べとして発振段と逓倍段の動作を確認してみました。発振段の6AQ5のみを挿して表示周波数3521KCのクリスタルをセットします。オシロと周波数カウンターをつないで電源を入れてみました。
 CALにすると発振。周波数は3,529KHz。表示より8KHzほど高い周波数ですが、無事に発振しています。
シーメンスキーをRECに戻してバンドを切り替えてテストします。3.5MHzと7MHzでは発振段は同調回路無しの源発振周波数。14MHz、21MHzは発振段のプレートを同調負荷として3.5MHzの2逓倍波、7MHzを取り出します。
 28MHzは基本波7MHzのクリスタルを用いて発振段で2倍波を、50MHzでは8.5MHzのイメージ 2クリスタルを用いて同じく発振段で2倍波を取り出します。
 発振が確認できたので、低周波増幅基板を取り外した状態で高周波出力電力の測定をしました。
 ダミーロードをつなぎ、SWR計を通過型電力計としての測定です。フルスケールが15Wの次は150Wで、ちょうど測定したい20W程度は精度よく測定出来ませんが、目安にはなるでしょう。
 28MHは7MHzの水晶が必要なので、手持ちのHC49タイプ(7.0030MHz)を使用。8.5MHzの水晶が無いので、50MHzの調整はお預けです。
 
 測定結果は下表の通り。
取扱説明書の回路図では終段プレート電圧が410Vですが、本機では若干高めの電圧となっています。
CWモードでは終段スクリーングリッドの電圧が下がりますが、思いの外PHONEとCWの出力差が大きく、また、入力電力に対する効率も低下するようです。ハイバンドでの出力低下が大きく、ちょっと不満。Ip、Igはほぼ、取扱説明書の最適調整時の値となりました。

PHONE
周波数帯 CAL時 Ig Ig Ip Vp 出力電力 入力電力 効率
3.5 3.5mA 2.9mA 76mA 429V 25.0W 32.6W 77%
7 2.6mA 2.1mA 78mA 426V 21.0W 33.2W 63%
14 2.1mA 1.6mA 60mA 435V 18.0W 26.1W 69%
21 2.1mA 1.4mA 76mA 424V 20.0W 32.2W 62%
28 1.9mA 0.9mA 75mA 426V 19.0W 32.0W 59%

CW
周波数帯 CAL時 Ig Ig Ip Vp 出力電力 入力電力 効率
3.5 3.5mA 3.mA 55mA 448V 15.0W 24.6W 61%
7 2.6mA 1.8mA 51mA 448V 14.0W 22.8W 61%
14 2.1mA 1.7mA 51mA 447V 12.0W 22.8W 53%
21 2.1mA 1.7mA 50mA 448V 10.9W 22.4W 49%
28 1.9mA 1.4mA 53mA 448V 9.8W 23.7W 41%
 






 
(2)AM変調回路の確認
 低周波増幅回路をシャーシに取り付けます。
 この際、基板を改造してグランドから切り離したヒーター電源回路を電源トランスからのヒーター電源と接続して1点アースにします。
 また、マイク入力のケーブルも3C-2Vの同軸ケーブルが使われていたので、一般的な低周波シールド線に交換しました。
 受信機でのモニターと合わせて、ダミーロードとの間に20dBカプラーを入れてオシロで高周波波形を観察できるようにします。
 PHONEモードで送信し、約20Wの出力を確認。まずは無音状態でハムの有無を受信機で確認します。
受信機の音量を大きく上げるとハムが聞こえますが、全く問題ない程度です。
 マイク端子からAF信号を注入・・・。きちんと、キャリアに変調が掛かっています。
 低周波増幅マイロのゲインを適当なところに調整し、ヤエスのハンドマイク、YD-846を取り付けて音声でテストをします。
 マイクの特性でしょうか、受信機から聞こえる音はあまり良くないようです。
 せっかくAMの電波を出すなら通信機的な明瞭度よりは多少ゆったりした音質の信号が出せると良いと思います。今後の宿題とします。
 とりあえず、オシロスコープを見ながら声を出し、変調器のゲインを適当なところに合わせておきます。


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